2018/11/28

「デュラビーム®」に続き、エムスリーグループで理研シーズを製品化。 心膜シート「ペリビーム®」国内製造販売承認のお知らせ

エムスリー株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:谷村 格 URL:https://corporate.m3.com/ 以下、エムスリー)は、国立研究開発法人理化学研究所(本部:埼玉県和光市 理事長:松本 紘 URL:http://www.riken.jp/ 以下、理研)の基本特許を基に2016年4月に設立した子会社の株式会社多磨バイオ(本社:東京都港区 代表取締役:澤田 誠 以下、多磨バイオ)が厚生労働省より「ペリビーム®」の製造販売承認(クラスIV)を取得致しましたのでお知らせいたします。

エムスリーでは、シーズ投資会社のエムスリーアイ株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:梅田 和宏 以下、エムスリーアイ)を通じてシーズロケット事業を展開しております。また多磨バイオに対して、事業化構想段階から共同創業者、創業インベスターとして必要資金を提供するとともに、経営陣の派遣、薬事・医師・科学・素材技術アドバイザーによる助言や業務体制の構築等の全般的な経営サポートを行っています。
 多磨バイオでは、理研が開発した高分子樹脂を特殊加工する技術を用い、数々の治療用医療機器の開発に取り組んでいます。2017年9月には会社設立からわずか17ヶ月という短期間で人工硬膜「デュラビーム®」の製造販売承認(クラスⅣ)を取得しました(https://corporate.m3.com/press_release/2017/20170908_001318.html)。
 このたび、多磨バイオが製造販売承認を取得した「ペリビーム®」は、「デュラビーム®」と同様に高分子樹脂を特殊加工する技術を製品化した心膜シートです。現在、臨床の現場では自己組織との癒着、経年使用による心膜シートの石灰化等の様々な有害事象が課題となっています。「ペリビーム®」はこれらの課題を克服すべく、心臓外科専門医からのフィードバックを得て考案された医療機器です。生体適合性が高く他臓器との癒着の危険性が少なく、再手術の際の剥離要する時間も短く、有害事象が減ることが期待されております。
 また多磨バイオでは、今回の日本における製造販売承認の取得にとどまらず、海外市場への展開も視野に入れ開発を進めてまいります。また、人工硬膜、心膜シートに続く人工臓器の開発も目指しております。

エムスリーはエムスリーアイのシーズロケット事業の取り組みを通じ、世界のアンメットメディカルニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)を満たし、患者さんに真に望まれる医薬品、医療機器、再生医療等製品をいち早く創出し世界に貢献するとともに、国内外の医療ベンチャー企業のエコシステムが構築できるよう支援してまいります。

■「ペリビーム®」使用イメージ

ペリビーム.png

ペリビームの心嚢膜植え込み試験(ブタ)
白枠部分:ブタ心嚢膜に埋植2か月後の剖検時 特殊ビーム加工面の写真
特殊ビーム加工された表面全体に新生膜が形成され周囲組織と同化している。

■国内心膜の市場(多磨バイオ予測)
 心臓外科手術数66,453件/年(日本胸部外科学会/Thoracic and cardiovascular surgery in Japan during 2014)の17%(多磨バイオ調べ)から年間11,300件が心膜シートの対象であると予想。

■多磨バイオ代表取締役 澤田誠のコメント
 理化学研究所で本技術の基礎研究が始まりましたのは、今から20年程以前のことであり、多くの研究者・臨床医の方々の絶えまぬ研究の結晶が昨年9月に承認された人工硬膜「デュラビーム®」であり、今回、承認を取得した心膜シート「ペリビーム®」であります。厚生労働省より本製品の製造販売承認が得られましたことは、多くの協力会社の皆様のご支援の賜物であります。これらのどれ一つでもかけておりましたら、医療機器として世に送り出すことはできませんでした。本技術はこれらの分野以外にも応用できるものであり、世界中の数百万人の患者を救う可能性を秘めていると確信しております。今後、弊社社員一同、さらに切磋琢磨し、より素晴らしい医療機器を開発して参る所存であります。

■理研 科技ハブ産連本部 小寺秀俊本部長のコメント
 人工硬膜に続き、理研の研究成果に基づく心膜シートの製造販売承認が得られたことは望外の喜びです。多くの医療現場で活用されることを期待しています。

■多磨バイオ概要
設立:2016年4月(エムスリー連結子会社)
所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂1-11-44 赤坂インターシティ
従業員:9名(役職員含む)
代表取締役:澤田誠

<第3の成長レバー:先端医療戦略>
 エムスリーでは先端医療分野への取り組みを「インターネットサービス」、「e×リアルオペレーション」に続く第3の成長レバーと位置づけています。本取組により、エムスリーは、先端医療分野での事業展開を加速させます。

戦略マップ_ペリビーム.png