2017/09/08

エムスリーグループで理研シーズを製品化-人工硬膜「デュラビーム®」国内製造販売承認のお知らせ

エムスリー株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:谷村 格 URL:http://corporate.m3.com/ 以下、エムスリー)は、国立研究開発法人理化学研究所(本部:埼玉県和光市 理事長:松本 紘 URL:http://www.riken.jp/ 以下、理研)の基本特許を基に昨年4月に設立した子会社の株式会社多磨バイオ(本社:東京都港区 代表取締役:澤田 誠 以下、多磨バイオ)が厚生労働省より「デュラビーム®」の製造販売承認(クラスIV)を取得致しましたのでお知らせいたします。

このたび、多磨バイオが製造販売承認を取得した「デュラビーム®」は、理研が開発した高分子樹脂を特殊加工する技術をエムスリー・シーズロケット事業より製品化した人工硬膜です。現在、人工硬膜を含む人工臓器は患者様の事故、手術等で損なわれた臓器の機能的代替物としてインプラント等の医療機器として世界中で開発が進められていますが、臨床の現場では術後の感染症の問題、自己組織との癒着等の様々な有害事象が課題となっています。多磨バイオの開発した人工硬膜「デュラビーム®」はこれらの課題を克服すべく、専門外科医からのフィードバックを得て考案された医療機器で生体適合性が高く、従来に比べ手術時間も短く、感染症リスクが減ることが期待されております。

多磨バイオは、理研の高分子樹脂を特殊加工する技術を実用的な基盤技術となるよう開発し、開発製品をいち早く患者へ届けることを目指しています。代表取締役には長年開発薬事に携わり、大手外資医療機器会社での薬事部長や自ら薬事コンサルティング会社の起業等を経験してきた澤田誠氏が就任しております。同氏の医療機器開発経験とエムスリーグループの開発薬事支援等を最大限に活用し、研究開発、事業開発を推進しております。今後は国外の市場、人工硬膜以外の人工臓器の開発も目指しております。

エムスリーはシーズ投資子会社のエムスリーアイ株式会社(本社:東京都港区 代表取締役:梅田 和宏 以下、エムスリーアイ)を通じて、多磨バイオに対して、事業化構想段階から共同創業者、創業インベスターとして必要資金を提供するとともに、経営陣の派遣、薬事・医師・科学・素材技術アドバイザーによる助言や業務体制の構築等の全般的な経営サポートを行ってまいりました。
 エムスリーはエムスリーアイのシーズロケット事業の取り組みを通じ、世界のアンメットメディカルニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)を満たし、患者さんに真に望まれる医薬品、医療機器、再生医療等製品をいち早く創出し世界に貢献するとともに、国内外の医療ベンチャー企業のエコシステムが構築できるよう支援してまいります。

■「デュラビーム®」使用イメージ
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■国内人工硬膜の市場(Total Addressable Market)
厚労省 平成17年医療施設調査・病院報告の概況掲載の開頭手術数6,463件(9月)から年間7万7千件程度と推測。

■多磨バイオ代表取締役 澤田誠のコメント
 理化学研究所で本技術の基礎研究が始まりましたのは、今から20年程以前のことであり、多くの研究者・臨床医の方々の絶えまぬ研究の結晶がこのデュラビーム®であります。本日、厚生労働省より本製品の製造販売承認が得られましたことは、多くの協力会社の皆様のご支援の賜物であります。これらのどれ一つでもかけておりましたら、医療機器として世に送り出すことはできませんでした。本技術は脳神経外科領域以外にも心臓血管外科、消化器外科などいろいろな分野に応用できるものであり、世界中の数百万人の患者を救う可能性を秘めていると確信しております。今後、弊社社員一同、さらに切磋琢磨し、より素晴らしい医療機器を開発して参る所存であります。

■理研産業連携本部長 藤田明博のコメント
 理研の研究成果に基づく人工硬膜の製造販売承認が得られたことは望外の喜びです。多くの医療現場で活用されることを期待しています。

■多磨バイオ概要
設立:2016年4月(エムスリー連結子会社)
所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂1-11-44 赤坂インターシティ
従業員:9名(役職員含む)
代表取締役:澤田誠

参考資料: 先端医療分野での M3の取り組みと戦略展望