2020/01/15

日本医師会とエムスリーが医業承継に関する包括連携協定を締結 診療所の第三者医業承継に関するトライアル事業を開始

公益社団法人日本医師会(本部:東京都文京区、会長:横倉 義武、以下日本医師会)とエムスリー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:谷村 格、以下エムスリー)は、日本全国で深刻化する医療機関(医院・クリニック等)における後継者不足の問題を解決するため、第三者医業承継のトライアル事業(以下本事業)に関する包括連携協定を、民間企業と初めて締結したことをお知らせ致します。本協定を通じて、診療所(医院・クリニック)等を運営する開業医に事業承継の選択肢を早期から提供することで、後継者不足による廃業を阻止し、かかりつけ医機能の維持、地域医療の堅持に寄与します。


  1. 包括連携協定の目的と背景について

    (1)目的

    医療機関における第三者承継問題の課題解決、かかりつけ医機能の維持等の地域医療提供体制の堅持に資するため、日本医師会とエムスリーは都道府県医師会・郡市区医師会等と連携して、医療機関の第三者承継支援に取り組むことを目的としています。

    (2)背景

    近年、開業医の後継者問題の解決策の一つとして、第三者への事業承継の必要性が高まっております。特に診療所の後継者不在率は全業種トップ水準の約86%※1と深刻な状況にありますが、譲受先(引き継ぎ先)の探索が困難であるため、第三者承継を実現するケースは僅少となっています。国内約10万件の診療所のうち、院長が60歳以上の診療所は約47%※2とされており、そのうち約70%※3で後継者が不在ということがエムスリーのアンケート調査で明らかとなっています。このことから、約100,000件ある診療所のうち約33,000件において、院長の年齢が60歳以上かつ後継者不在と推察され、今後の地域医療を考えると、少子高齢化・人口減少社会の日本において、大きな社会的な課題であるといえます。長年に渡り地域医療に尽力された開業医とこれから地域に寄り添った医療を志す医師をつなぐ仕組みが急務となる中で、日本医師会とエムスリーは医療機関の第三者承継を支援する取組をスタートすることと致しました。第一弾として、秋田県下に設定したトライアル地域において事業を始めています。


  2. 取組内容について

    医療機関の円滑な第三者承継の実現に向けて、日本医師会とエムスリーは本事業に係る以下の取組を実施致します。(参考図参照)

    (1) 都道府県医師会および郡市区医師会等との連携体制の構築

    (2) 医業承継プラットフォームの周知・活用

    (3) 日本医師会員に対する医業承継に関する情報提供

    (4) 日本医師会員に対する医業承継サービスの提供(マッチング)

    (5) 承継時における後継者への医師会加入促進


  3. エムスリーについて

    エムスリーは、日本最大級の医療従事者専門サイト「m3.com」を運営しており、日本の臨床医の約9割にあたる28万人以上の医師会員と日本の薬剤師の半数超にあたる16万人以上の薬剤師会員等に対し医療関連情報を提供し、マーケティング支援サービス等を提供しております。また、日本のみならず米国・英国・欧州・中国・インドなど海外への事業展開を積極的に進めており、全世界の医師の50%程度となる550万人以上の医師会員・パネルを有し、様々なサービスの展開をしています。


    医療機関の第三者承継支援では、「m3.com」を通じて医療機関の譲渡希望者および譲受希望者のデータベースを構築し、最適な相手とのマッチングからM&A・事業承継に掛かる契約締結まで、一気通貫で対応が可能なコンサルティングサービスを提供しています。医療機関のM&A・事業承継に関する専任コンサルタントを設置し、財務・法務・リスク対応を含む支援体制を整備し、交渉支援やバリュエーション・契約書作成等、M&A・事業承継に付随する全ての業務をサポートすることで、秘匿性の高い情報の取り扱い等、安全性の高い医療機関のM&A・事業承継を実現しております。



    【参考図:事業スキームイメージ】

    ishikai_1.png

※1.医業承継の現状と課題(出典:日本医師会総合政策研究機構、2019年2月)

※2.平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査(出典:厚生労働省、2017年12月)

※3.医師のリタイアメントプランに関する実態調査(出典:エムスリー、2018年9月)